研究活動ガイド

Last Updated : 2018/11/07

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垣内 俊彦/カキウチ トシヒコ

垣内 俊彦/カキウチ トシヒコ

  • 職 名: 助教
  • 所 属: 医学部 附属病院 小児科

研究分野

研究テーマ/
  1. 小児のIgG4関連疾患の検討
  2. 小児HCV感染および自然陰転化におけるIL28B遺伝子多型とHCVコア変異相対定量の影響解析
  3. てんかん発作を呈する患者における酵素活性測定法によるゴーシェ病ハイリスクスクリーニング
  4. 佐賀県下中学3年生を対象としたヘリコバクター・ピロリ菌感染検査及び除菌治療事業「未来へ向けた胃がん対策推進事業」の実施に関する検討
  5. 発達障害児におけるヘリコバクター・ピロリ菌感染罹患および次世代シークエンサーを用いた腸内細菌叢の解析研究
  6. H. pylori感染者と非感染者の腸内細菌叢の違いおよび基礎疾患との関連性の検討
  7. H. pylori除菌時における腸内細菌叢および有害事象に関する調査
  8. がん検診受診率向上につながる普及啓発の方法に関する研究
  9. 便中H. pylori抗原迅速検出試薬および遺伝子検出試薬の臨床性能評価
  10. 佐賀県下新生児ライソゾーム病スクリーニング検査の実施に関する検討
  11. H. pylori遺伝子検出試薬の臨床性能評価
研究キーワード/
小児消化器・肝臓、先天代謝異常
科研費分類学問分野/
  • 分 野医歯薬学
  • 分 科内科系臨床医学
  • 細 目小児科学
科研費分類学問分野/
  • 分 野医歯薬学
  • 分 科内科系臨床医学
  • 細 目消化器内科学
科研費分類学問分野/
  • 分 野医歯薬学
  • 分 科内科系臨床医学
  • 細 目代謝学

活動アナウンス

  • 活動形態 公的機関(官公庁)等との連携
  • 活動時期・日時 2016年4月〜
平成28年度から佐賀県で始まった佐賀県内の中学3年生全員を対象にした若年者ピロリ検診・治療を責任者として立案し、県の事業として実現させた。これは胃癌の早期発見ではなく、胃癌自体の発症を予防する画期的な取組である。佐賀県が全国に先駆け県単位で実施し、全額公費助成という点も含み全国から大きな注目を集めている。今後、国による事業化への働きかけ等さらなる貢献が期待される。
  • 活動形態 医療・医薬品関連企業等との連携
  • 活動時期・日時 2017年4月〜
新たに開発された「便中H. pylori抗原迅速検出試薬」、および「便中H. pylori遺伝子検出試薬」について、臨床検体を用いた性能評価を行うことで、その臨床的有用性を確認した。「便中H. pylori遺伝子検出試薬」によるクラリスロマイシン耐性の変異検出について、PCRダイレクトシークエンス法との一致率を評価し、ゴールドスタンダードである胃粘膜からの培養結果とも結果を照合した結果、有効であるとが証明され検査キットの市販化を勧めている。
  • 活動形態 医療・医薬品関連企業等との連携
  • 活動時期・日時 2017年1月〜
佐賀県の中学3年生のピロリ菌感染者(除菌治療前)と非感染者の糞便を解析し、その菌叢の違いおよびそれぞれの基礎疾患との関連について検討する。便中H. pylori抗原検査陽性者をH. pylori感染者とし、陰性者をH. pylori非感染者と定義し、それぞれの便を次世代シークエンサー(NGS)を用いて腸内細菌叢解析を行う。また両群ともに基礎疾患の有無などを同時に解析する。その結果、ピロリ菌感染者と非感染者とで腸内細菌叢の違いがあることが証明された。

研究者からのメッセージ

現在、小児の様々な病気に腸内細菌叢がいかに影響を及ぼすかをメインに研究をしています。腸内細菌叢解析が簡単に行えない状況ではありますが、研究機関や民間企業と連携し研究を遂行しています。最終目標は、研究結果を元に創薬をすることです。

研究紹介 ①

小児Helicobacter pylori感染者の腸内細菌叢の検討

研究概要

【目的】
Helicobacter pylori (H. pylori) はヒトの胃に感染し、胃酸の分泌を減少させ腸内細菌に変化を及ぼすことが判明している。そのことがアレルギー性疾患、炎症性腸疾患、耐糖能異常など様々な疾患を引き起こす要因の一つと推測されている。しかし、小児におけるH. pyloriの感染が腸内細菌叢に及ぼす影響を遺伝子解析により網羅的に検討した報告はない。

【方法】
平成29年度「未来へ向けた胃がん対策推進事業」で佐賀県内の中学3年生を対象に実施された尿中の抗H. pylori抗体検査(一次検査)において、陰性であった者をHp陰性群(N=79)、一次検査が陽性であり便中のH. pylori抗原検査も陽性であった者をHp陽性群(N=80)とし、これらの対象者から提供された糞便検体について、次世代シークエンサーを用いて腸内細菌叢の網羅的解析を行った。

【結果】
Hp陰性群とHp陽性群で、年齢、性別、BMI、アレルギー疾患有病率、分娩方式、乳児期の栄養については有意差を認めなかったが、Hp陽性群で保育園卒が多かった。両群の腸内細菌叢を比較したところ、α-多様性については両群間に有意差が認められ、β-多様性についても腸内細菌叢のプロファイルが異なることが認められた。また、Hp陽性群ではHp陰性群と比較して、Subdoligranulumが有意に減少(p<0.01)し、Prevotellaが有意に増加(p<0.01)することが認められた。Hp陽性群においてBMIの上昇とともにPrevotellaが増加していた。分娩方式、乳児期の栄養、幼児期の集団生活については、関連性が認められなかった。

【結語】
Hp陽性群とHp陰性群において腸内細菌叢の違いが認められ、Hp感染が腸内細菌叢を乱す因子の一つである可能性が示唆された。またPrevotellaの増加には、Hp感染、BMIが影響している可能性が示唆された。

研究紹介 ②

便検体を用いたH. pyloriクラリスロマイシン耐性の遺伝子検査の有効性

研究概要

【目的】
Helicobacter pylori (H. pylori) 除菌療法の失敗の主要因は、H. pyloriのクラリスロマイシン(CAM)耐性による。本研究では、侵襲性の低い便検体を用いて、H. pyloriのCAM耐性に関与する23S rRNA遺伝子変異の検査法の検討を行った。

【方法】
平成29年度、佐賀県内の中学3年生を対象に実施された若年者H. pylori検診で、尿中H. pylori抗体検査(一次検査)陽性で、そのうち便中H. pylori抗原検査(二次検査)を受けた生徒で本研究への参加同意を得られた71名を対象とした。対象者より採取した便検体を用い、Nested PCRおよびQ probe法(以下、評価試薬)にて変異の有無を検査した。結果については、シークエンス解析により精査を行った。また、CAM耐性変異と除菌治療結果との比較を行った。

【結果】
対象症例71例のうち、二次検査陽性57例、陰性14例であった。二次検査陽性のうち、評価試薬にて便検体からCAM耐性遺伝子変異が解析可能であったのは、53例(93%)であった。CAM耐性遺伝子変異解析の結果は、変異あり28例、変異なし25例であった。これらの結果は、全てシークエンス解析結果と一致した。また、演題登録時点で、一次除菌の除菌判定の行われた17例において、CAM耐性遺伝子変異解析の結果は、変異あり12例、変異なし5例であった。一次除菌成功率は、変異あり83%(10/12)、変異なし100%(5/5)、全体の除菌成功率は88%(15/17)であった。

【結語】
便検体を用いた評価試薬は、CAM耐性遺伝子変異の解析が、抗原検査陽性57例のうち53例(93%)で可能であり、薬剤の選択に有用であると考えられる。今後は、臨床の現場で簡易に測定できるような、検査キットの開発が望まれる。現在、胃生検試料を用いた培養・薬剤感受性試験を対照とした評価試薬の評価についても検討中である。

研究紹介 ③

佐賀県若年者H. pylori検診における疫学的評価と除菌治療評価

研究概要

【目的】佐賀県では平成28年度から、県内すべての中学3年生を対象にピロリ菌感染スクリーニング検査と除菌治療が県からの全額公費助成で始まった。

【方法】学校検尿の残尿で尿中H. pylori抗体検査を実施し、陽性者には便中H. pylori抗原検査キットを郵送した。両者ともに陽性者は、15歳以降に県内指定の医療機関で上部消化管内視鏡検査未実施で除菌を行った。一次除菌薬としてVPZ40mg、AMPC1500mg、CAM400mg、宮入菌製剤の4剤を7日間内服した後、8〜12週間後に尿素呼気試験で除菌判定を行った。副反応は、初年度は除菌判定時に担当医による聴取、次年度は生徒自身が除菌薬服用時に記録用紙に記載し提出することで確認した。

【結果】検診開始後2年間における佐賀県内すべての中学・特別支援学校に在籍する生徒17,431人のうち、尿中H. pylori抗体検査を受検したのは14,267人(81.8%)であった。一次、二次検査とも陽性者は482人(3.4%)であった。県内の地域別感染率は、県都との距離では正の相関(R2=0.41)、水道普及率では負の相関(R2=0.55)を認めたが、胃がん標準化罹患比、三世代同居率とは相関を認めなかった。一次除菌成功率は85.2%であった。初年度は7.0%(11/156人)で副反応をみとめ除菌中止例は2人であった。次年度は医師による聴取では7.2%(4/55人)で除菌中止例は1人であった。生徒自身の記録用紙による報告では下痢軟便を44.3%(39/88名)に認めた。

【結語】H. pylori感染率は3.4%(PP解析)であり水道普及率と負の相関を認めた。VPZ使用による15歳でのH. pylori除菌成功率は成人同様で、下痢・軟便が多かった。

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